ヒトで多胎児と言えば双子が多いですが、これには一卵性と多卵性の区別があります。
一卵性の多胎児の場合は一つの卵子が分裂の過程で偶然に分かれ、それぞれが成長しますが、多卵性多胎児の場合、同時に複数の卵子が別の精子を受精し、そのまま成長します。
哺乳類で多胎は珍しくありませんが、ヒトの場合多くが双子であり、それでも確率が高いわけではありません。
特に一卵性の多胎児（双子）を授かる確率は1000回の分娩に対して4回ほど、つまり0.4%ほどの確率であり、これは遺伝や地域に関わりなく一定だと言われています。
一方、多卵性の多胎児では、生殖医療の発達が要因となって、出生率が高まります。
排卵誘発剤の使用や、体外受精時に複数の受精卵を身体に戻すことにより、複数の排卵が起きたり、複数の着床が起きたりする確率が上がり、伴って多胎児を授かる確率が上がります。
ただし現在では、母体と新生児の管理体制がシビアになる多胎妊娠をいたずらに増やさないため、「生殖補助医療の胚移植において、移植する胚は原則として単一とする」という風に日本産婦人科学会で定められています。
排卵誘発剤の使用に伴う偶発的な多胎児の発生は避けきれませんが、肺移植による多胎児の発生は抑制されているので、こちらの確率も一時期よりは減少傾向にあるようです。
一卵性の多胎児を授かるのはまったくの偶然であり、どうして分裂の過程で複数に分かれるのかは分かっていません。
多卵性の多胎児の場合、やはり自然にその発生が起こるのは偶然ですが、生殖補助医療の介入などによって発生する確率が高まることがあります。
