排卵検査薬や基礎体温計などの道具を使わずに、もしくは病院に行くことなく、排卵日を知ることができるでしょうか。
排卵痛や排卵出血があれば何も使わずに感知できるかもしれませんが、いつもコンスタントに、同じタイミングで起こるわけではないでしょうから、信頼性は乏しいものです。
もちろん、特に排卵痛は無いという方もいるでしょう。
何も使わずに排卵期を予測する方法として、おりものの性状の変化を観察するという方法があります。
おりものとは、膣から子宮への通り道、つまり頸管から分泌される粘液である頚管粘液や膣分泌液などが混ざったもので、いつも少なからず体外に出てきているものです。
排卵前になると分泌量が上昇するエストロゲンというホルモンの影響で、頸管粘液の性状が変わります。これをうけておりものの性状も変化するので、これを利用して、排卵日前を予測するのです。
普段の頸管粘液の様子は、あまり量は多くなく、白っぽく、触っても伸びの無い性状をしていますが、排卵期になると、頸管粘液の量が増え、無色透明の、伸びやすい性状になります。
この変化が、おりものでも認められるようになるのです。
これは、排卵期に向けて精子を迎え入れやすいようにするための変化です。普段は反対に、外敵の侵入から子宮を守るため、量も少なく、伸びも悪い性状を保っているのです。
おりものの変化から排卵期を判定する方法がありますが、道具を使わずにもっと踏み込んだ方法としては、膣内に指を入れて子宮口や頚管粘液から排卵期を把握するというものもあります。
俗に「福さん式」と呼ばれるこの方法では、おりものの観察も含まれますが、子宮口の様子を直接触り、頸管粘液もよりしっかりと確かめるのがメインの目的となります。
排卵期に差し掛かると、子宮口は普段より低い位置に降り、柔らかくなっています。これを触って確かめること、頸管粘液の様子を確かめるという方法が「福さん式」です。
普段から子宮の手触りを把握していなければならないこと、手の清潔に注意を払わなければならないこと、自分で膣内に指を入れることに抵抗のある方には苦痛なことなど、いくつかチャレンジしにくい要素はあります。
しかしマスターすれば自力で排卵期を判断するには有効な方法の一つになるでしょう。
本格的に子宮頸管粘液検査を病院で受けることもできます。
だいたいの排卵期を特定し、タイミングを見て頸管粘液の性状を観察することで、排卵期の予測の補助ができるだけではなく、頸管粘液の異常を診断することもできる可能性があります。
ただし、一度できっぱりと排卵期が予測できるわけではないので、頸管粘液から排卵日を予測する場合、数回に渡って検査する必要があるでしょう。
排卵日の指導が中心なのでしたら、卵胞検査を受けた方が効率の良い方法だと思います。
ただ、頸管粘液の分泌異常や不足があれば、精子の侵入を促すことが難しくなるため妊娠の困難に繋がります。
もし、ご自分でおりものの変化や、頚管粘液の変化が把握できないのなら、一度病院で診てもらっても良いかもしれません。
自力で自分の身体を知ることができるのは良いことだと思います。
日ごろから身体の様子を把握しておいて、何か様子がおかしいと思ったときに医師の診察を受けられるようにしておく。
道具も使わず、病院にも行かずに排卵日を予測する方法は、無くはないですが手軽で簡単というわけでもありません。
頸管粘液を直接触って観察するのは慣れが必要ですし、おりものの量にも個人差、時期や体調による変化があります。
排卵日を特定し、妊活に役立てようとするにはあまり効率の良いこととは思えませんが、通常時と排卵期の身体の変化の様子を把握しておくのはとても大切なことだと思います。
